アミノ酸指標のクラスター解析

○富井健太郎、 緒方博之、 金久實(京大・化研)

Cluster Analysis of Amino Acid Indices
K. Tomii, H. Ogata, M. Kanehisa

蛋白質の立体構造構築原理の解明、さらには構造予測実 現のためには、20種類のアミノ酸残基の性質と蛋白質の 立体構造との相関を明らかにすることが必要である。これ までに多くの研究者により実験的に、理論的に、あるいは 統計解析的にアミノ酸残基の性質を数値化した指標が多数 発表されてきている。我々は継続的にそれらをデータベー ス化してきた(アミノ酸指標データベース:AAIndex)。 Nakai らは各指標をノードとする最小全域木を作成し解析 を行ない、アミノ酸指標は4つの主要なクラスターに分か れることを示した。現在、データベースは倍増し、論文数 で109、指標数では402となっている。我々は蓄積さ れたデータから新たな知見を得るべく、また多くの研究者 がデータベースを容易に利用できるようにするために、 Nakaiらと同様の手法により現在までに登録されたデータを 解析した。その結果をふまえて代表的な指標を明らかにす るとともに、クラスター間の相互関係が把握しやすい形に 整理した。さらに別の解析手法として主成分分析を行ない、 最小全域木による解析との比較を行った。 解析の結果得られた興味深い知見の一つとして、β傾向 性指標とKier の graph-based shape index及び疎水性指標との 高い相関が挙げられる。これに関しては、βシート安定化 に関する Bai らの研究をふまえて議論する。 なお、アミノ酸指標データベースはanonymous ftp (ftp.genome.ad.jp) により入手可能であるので利用して頂きたい。

(日本生物物理学会第32回年会1994年9月28〜30日、28日発表)